A-32　輝

　綴織の歴史は非常に古く、古代エジプトでは王朝時代（紀元前１５世紀）のトトメス�M世王墓から麻の綴織物が出土しており、紀元前後のコプト織は有名です。

南米アンデスではやはり紀元前１５世紀頃ペルー中央部リマの北方ベルメホ遺跡から木綿による綴織物が出土しており、紀元前８世紀には鮮やかな色彩による羊毛の綴織物が出土しています。　１５世紀にインカ帝国が起きるまでをプレインカの織物と称しています。

A-36　煌き

A-51　奏風 03-II

　中近東ではキリムと呼ばれ全域で数多く織られています。イラクのバクッダドから南南西のラザール湖々岸にあるアル・タール遺跡からは紀元前２世紀〜紀元後３世紀のバルチア時代のものと推定される人物文の綴織が発掘されています。

　中国では春秋時代周の襄王紀元前（６５２〜６１９年）の頃、河南省許州襄邑で絹製の綴織、すなわち綴錦が織られていたと伝えられています。又、山西省蒙彊陽高からは紀元前１世紀頃の織成錦（綴織）が出土しています。

　日本では法隆寺所蔵の「葱花山形十字段文」綴錦は日本に現存する最古の綴織の一つで奈良時代以前７世紀のものとされています。京都祇園祭の山鉾を飾る美術品の中にも多くの綴錦が見られます。これらは１６世紀頃からの古いもので世界各地から集められました。

A-18　輝

　ヨーロッパではフランスを中心に中世以降数多くのタピスリーが製作されています。特に１４世紀のアンジェの黙示録、１５世紀のパリ、クリュニュー美術館所蔵の貴婦人と一角獣特に有名です。１７世紀ルイ１４世の時代に創立されたゴブラン工場は現在でも国立ゴブラン工場としてパリ市内でタピスリーを製作し続けています。

　このように綴織は古代から世界各地で織られています。

　現在では大きな作品は、ホテル、病院、体育館、役所、等のパブリックスペースをはじめ各企業体、マンション等、小品は各家庭にも多く取り入れられるようになってきました。